西陣織を、持ち歩く工芸へ。

 

Tatsumiのハンドバッグができるまで

京都で長い歴史を受け継いできた西陣織。その魅力は、華やかな文様だけではありません。光の角度や、持つ人の動きによって表情が変化すること。近くで見ると、一本一本の糸が複雑に重なり合い、柄そのものをつくっていること。Tatsumiでは、この西陣織を単にバッグの表面に使うのではなく、その素材が持つ美しさを読み取り、現代の生活の中で持つことのできるハンドバッグへと仕立てています。




 西陣織とは何か

 

 

西陣織は、京都・西陣を中心に受け継がれてきた伝統的な織物です。

一般的なプリント生地のように、生地の表面へ柄を印刷しているのではありません。

あらかじめ染められた糸を組み合わせ、織りによって文様をつくり上げていきます。

そのため、同じ柄であっても、見る角度や光の当たり方によって色や輝きの見え方が変わります。

Tatsumiが西陣織を「光で表情が立ち上がる素材」と考えている理由も、ここにあります。

 

 

※tatsumiで使用している西陣織について

 


織物の本質を見極める

西陣織は本来、バッグをつくるために生まれた素材ではなく、織り方、厚み、硬さ、使用されている糸、柄の構成は、反物ごとに異なります。

 

繊細な糸を使った生地は、加工の仕方によってはほつれやすくなり、柔らかな織物をそのままバッグに仕立てれば、形を保つこともできません。

 

そのため、バッグに仕立てる際には、

生地の性質を見極めること。

必要な部分を補強すること。

適切な張りを持たせること。

端を美しく処理すること。

そして、平面の織物を立体へと変えていくこと。

 

一つ一つの工程に、素材に対する理解が必要になります。

Tatsumiでは、生地を単なる「材料」として扱うのではなく、まずその生地がどのような性質を持っているのかを読み取ることから、ものづくりが始まります。

 




柄を「切る」のではなく、バッグの中へ再構成する

西陣織のバッグづくりでは、どの部分を使うかによって完成した印象が大きく変わります。

同じ一枚の織物でも、

 

どの柄をバッグの中心に置くのか。

光を強く反射する部分をどこに持ってくるのか。

西陣織以外のパーツにどの素材使用するのか

 

職人は完成したバッグを想像しながら、生地の中から最も美しく見える部分を選びます。

つまり、織物を裁断してバッグにするのではありません。

一枚の織物が持つ美しさを読み取り、バッグという新しい形の中へ再構成しています。

 

 


 

 

熟練の技術を要する、角丸フクレというつくり方。

バッグの形を見ると、そのつくり方の違いが分かることがあります。

市場に流通する商品の多くは、本体とマチなど、それぞれのパーツを分業方式で加工し、最後に工場で組み合わせる構造のバッグです。

 

※左右側面に【マチ】と呼ばれるパーツが2枚ずつ付いた一般的なハンドバッグ

 

 

この方式のバッグはパーツの寸法を規格化しやすく、内職さんを活用し、それぞれの工程を分けて生産することに適しています。

 

 

一方、Tatsumiが長年つくり続けてきたものの一つに、私たちが**「角丸フクレ」**と呼んでいる希少価値の高い生産方式のバッグがあります。

 

※【角丸フクレ】と呼ばれる左右にマチのないバッグ。美しいフォルムが出る一方、加工に高度な技術を要します。

 

 

角を直線的なパーツとして組み合わせるのではなく、バッグ全体に自然な丸みを持たせながら、一つの立体として仕上げていく形です。この丸みは、決められたパーツを組み合わせるだけでは生まれません。

使用する西陣織の厚みや柔らかさを見ながら、職人が手の感覚で張り具合を調整し、一つ一つ形を整えていきます。

 

同じバッグの型であっても、生地が変われば調整方法も変わります。

少し柔らかい生地。

厚みのある生地。

金糸を多く使った生地。

 

それぞれに合わせて張りを調整しながら、美しい曲線へ仕上げていきます。

そのため、この形は工程を細かく分業することが難しく、素材の性質を理解した職人が、完成まで一貫して向き合う必要があります。

 

角の丸みは、単なるデザインではありません。

平面の織物を読み取り、美しい立体へ変えていく職人の技術が、目に見える形となって現れたものです。

 

 


「日本製」という言葉の、その先へ

現在、日本で販売されている西陣織ハンドバッグには、さまざまな生産方法がありますが、その多くは海外で製造されています。また、製造工程の殆どを海外で行い、日本国内で最終工程を行う商品も多く見られます。

 

そして日本国内で製造されているバッグであっても、それぞれのパーツを複数の内職で生産し、組み立てのみを自社工場で行う手法が一般的です。先程の【マチ付きバッグ】の多くがこの方式です。

 

それに対し、

Tatsumiは大阪の自社工房で、一人の職人が一つのバッグの主要な工程を一貫して担当します。

生地を見て、触れ、その性質を理解した職人が、そのまま完成までバッグと向き合います。

一人の職人が責任を持って作り上げるからこそ、

 

「この生地なら、ここにはもう少し張りが必要だ」

「この柄なら、この位置が最も美しく見える」

 

といった判断を、完成までつなげることができます。

Tatsumiが大切にしているのは、単に日本でつくられていることではありません。

誰が、どのように、この織物をバッグへ変えているのか。

そこまで含めて、私たちは「Made in Japan」の価値だと考えています。

 


 

 

43年間、ハンドバッグをつくり続けてきた工房

Tatsumiの工房では、1983年の創業以来、和装向けハンドバッグを中心に製造を続けてきました。

現在、日本国内でこうしたバッグを専門的につくり続ける工房は、両手で数えられる程の少数になっています。その中でTatsumiは、長年にわたって百貨店や専門店、ブランド向けの商品製造を担いながら、さまざまな織物と向き合ってきました。

  

西陣織は、一反一反異なります。

だからこそ、マニュアル通りにつくるだけでは、美しいバッグにはなりません。

43年間の経験の中で蓄積してきたのは、単なる加工技術ではなく、

「この織物を、どうすれば最も美しいバッグにできるのか」を判断する経験だと私達は考えます。

 

 


 

伝統を、現代の装いへ

Tatsumiが目指しているのは、伝統工芸品をそのまま保存することだけではありません。

長い時間をかけて受け継がれてきた織物の美しさを読み取り、現代の生活で使える形へと翻訳することです。

 

結婚式や二次会で持つフォーマルバッグとして。

ワンピースドレスと合わせるパーティーバッグとして。

大切な人へ贈る、日本の工芸を感じるギフトとして。

西陣織を、鑑賞するものから、日常の中で持つものへ。

一つの織物が、職人の手によって立体となり、誰かの装いの一部になる。

それが、Tatsumiの西陣織ハンドバッグです。

 

Crafted in silence, carrying the light.

 

 ※音が出ます

 

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